白百合のはらわた

 

花屋の前を通った
わたしの皮膚が掴みとった
饐えた香り
甘いような酸っぱいような
不愉快な香り

花屋からいくつかの花の入ったバケツが
飛びだしているのは
死んだ動物のはらわたが
飛びだしているみたい

こんな醜いものを
美しいと呼べるひとが
わたしを置いていってしまうんだ

白百合のはらわたに噎せながら
わたしはそれをお金で買った
不愉快な香りを腕に抱いて
知らない人の所へ行かなくちゃ

こんな美しいものを
醜いと呼んでしまうわたしを
みんなが置いていってしまうんだ

23.07.24

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